背中はひとしきり描いてしまうともう描くところがない。輪郭線を追うのに精いっぱいの初心者がクロッキーするとそのような感想が出てきますし、描きこんだ人は背中こそじっくりと時間をかけてデッサンしたいと言います。
光の加減によるのでしょうけれど弱い光が横から入ってきたときなど、背中は起伏にとんだ絵描きにとっては格好の戦場!でしょうか。細身の女性の背中ですら肩甲骨とそれにつく僧帽筋、広背筋、背骨の隆起などが織りなす起伏が見えますし、男性ならばなおさら、凹凸は多いです。背中って、肩甲骨以外は見えるものは全部筋肉なので、そこに脂肪が被っていなければ観察する点が沢山でてきます。
これは福岡での一コマ。ムービングクロッキーで動いているうちに白板の前まで来てしまったのですがボクの背中、見えますね。いまここでは肩甲骨は見えてません、ここにあるのは全部筋肉の起伏です。筋肉の起伏と言う事はつまりポーズによって(より正確には腕の位置によって)起伏が動く凹凸ということになります。
こんなのが納得づくで描けるようになったら、人体を描くのは楽しいことでしょう。美術モデルによる美術解剖学はそのために有用なものなのです。