人体の輪郭線は,最初から存在するわけではありません。
中にまず骨があって、そこに肉がついて、脂肪がついて、
肉や脂肪の盛り上がりの限界点に皮ができて
ようやく下界との境界線 - 輪郭線がうまれます。
最初に皮膚という輪郭線があって、
その中には何があるのだろう、と探るのは
順番がつまりは逆なのです。
ボクが美術解剖学の講義をするときは
内側から物が起こるという本来の順番、を意識しますけど
ただ実際には人の目はまず外側(皮膚)から始まります。
たとえば顔を見て、頭蓋骨の中はどうなっているのだろうと、
そんなところから入る人はまずいないでしょう。
中を意識するのは病気の時や何か困ったときだけですね。
美術解剖学の本が面白くないのは、なぜか。
外側(目に見える部分)を軽視しては
”美術のための” 解剖学にならないのです。
—————————————————
さて、輪郭線だけを追って描いてゆきましょう。
人体の内側からの盛り上がり - 『内圧』が
活き活きと描けないことないでしょうか。
(陸上のアリソンフェリックス。
とくに下半身は内圧のカタマリ!?
んー、リッチな下半身です。
これを活き活きと表現する事に挑戦)
何事もバランス。
外側の境界線(肌)はしっかり観察で来て、
しかも内圧(骨や肉、脂肪)の正体も知っている。
このすべてが自分の手の内にあれば、
絵の巧拙は別として自らの思うように線を出せる、
その道には近づくのではないかなと思ったりします。