先回に続いてのシリーズです。良くある質問シリーズの①②は前回記事でお知らせしましたが今回は;
③ なぜ美術解剖学を学んだ方がいいのですか?
④ 美術解剖学を学んだら絵が上手くなりますか?
これですね。
③についてですが、一言でいえば【見る力、観察する力】をつける為です。描くというと皆さん、描くチカラ、表現する力、に気が行きがちですが、そもそも見えてなければ描けないのです。
見てはいるけど観ていない。もっといえば何を見ていいのかわからない。これはある一定のレベルに来た人には共通する課題の様です。「何を見ていいのかわからない」というのは「何を見ているのか分かっていない」、という事になります。ここを補完してくれるのが美術解剖学の知識です。
見た情報から何を拾い、何を捨てるのか。この「捨てるレベル」に自分が届かないと人体表現は輪郭線や外形線を追うだけで精いっぱいになる事でしょう。しかし美術解剖学の知識があれば少なくとも、自分で描いた絵や作った造形の「バグ出し」は自分でできます。バグ出しって言うとその筋以外の人にはわかりにくいですけど、要はあり得ない間違いに自分で気づけるという意味です。
となれば、美術解剖学の知識は絵は上手くなるという事につながりはしますが、あくまでつながるだけ。 上手くなるのは自分自身ですから。 知っているだけで絵がうまくなるならば整形外科医はみんな絵が上手いはず。表現力とはそんなものではないですよね(^^;
この写真の女性からは、⇓ 捨てる情報は無く見えたものは全部描き起こしてゆくのですが、まず見てください。
それぞれの筋肉がどこからついていてどこで終わっているか、そういう美術解剖学の知識があればこの写真の女性が何かの台に両腕をついていることが想像できるようになり、台から腕を離してブラっとさせた時の体も想像で描くことができます。
ヒトを自由自在に描けるようになりたい。その長い道のりも昨日ご紹介した勉強法で前に進むことができるでしょう。