ハリウッド映画界で活躍する日本人キャラクターデザイナーの片桐さんがフィギュア制作の企業グッドスマイルカンパニーで『片桐裕司の彫刻セミナー』を三日間にわたり行われ、ボクはその美術モデルとして呼んでいただきました。片桐さんとはこういう方です ⇓
http://chokokuseminar.com/index.html
会社のエントランスにはフィギュア作品(商品)がズラリ。素晴らしいプレゼンテーションです。
社員の皆さんは通常の仕事が上がってからセミナーに参加され夜の6時から10時まで、三日間粘土を触ります。体力的にも大変だろうなと思いながら尋ねるとこんな機会はないから自分へのご褒美だと思って出ている、生身の体は全部新鮮で楽しい!と言ってもらってポジティブなエネルギーを感じました。
さてお尻の観察。お尻と言っても、起伏はいくつかに分かれます。片桐さんが大殿筋と中殿筋の違いを指で示して説明しています。
おなじく片桐さんが肩の水平方向の動きについて解説しているところ。ボクは三角筋の後部を出して見せますが腕を後ろに引くときには三角筋後部が主導筋として関与しますから、そこが盛り上がります。
今度は三角筋の前部を収縮させてゆきます、そうすると腕は前方向に移動する。腕の位置が変わるにつれて肩の筋肉の見え方も移り変わります、そのデモしてます。皆さんのまなざしは真剣。企業の力はこういうところが源泉ですね。
フィギュアのような立体造形、そしてCG,アニメの方にはこのような勉強が必要と分かりながら自分で何か勉強できるソースを探してきて各自でやるしかない、この現状は厳しいモノです。このグッドスマイルカンパニーのように企業がお金をかけて研修してくれたら社員のクリエーターには大きな援護射撃のはずですけど。
世にある美術界解剖学の本はそれはそれで有用ですけど、全部死体を解剖して書かれたものですから生体が持つ情報とは違うものが多いのです。生身の美術モデルを見たら、今までの自分の勉強は何だったのかという声は結構聴くものです。
さて片桐さん、5月に【アニマルモデリング 動物造形解剖学】という本を出されます。
出版記念イベントが5月13日に御茶ノ水であります。サイン会もありますからハリウッドで勝負するキャラクターデザイナーに会いに行ってはどうでしょう。開催内容はこちらのPDFで
http://www.too.com/event/y2017/animalmodeling/
この日の、社員のみなさんへの片桐さんのシメの言葉は印象的でした。
『自分が作ったものの印象でカッコ悪いと思った形は、どこまで手を入れたってカッコ悪い。それはそもそも構造が間違っているからカッコ悪いのです。もちろん手を入れてごまかすことはできるのだろうけど、所詮はごまかしにすぎないし。カッコ悪いと思ったら、構造そのものの見直しに力を注いでほしい』
これは平面でも同じことなのでしょうね。いくら塗り重ねても納得のいく絵にはなってこない。一旦絵をつぶす勇気が要るのでしょう。