2011年05月08日

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ロシアの絵描きとバレエ

ロシアの絵描き事情について
もちろんボクは全て知っているわけではありませんけど
ボクの周りにいた学校の関係者や生徒は
現代美術に傾斜する人でもアカデミックなデッサン技法開拓には
とても熱心でした。
熱心というより、生徒はやらされていたのかも知れません。
でも、教える側に伝統を受け継ぐという強い意志があったのは事実で
ここが日本の現状と全く違うところです。
日本では、美大と言う名前がついていても
基礎は各自勝手にやりなさいということで(^^;
かくして基礎工事のない凸凹の土台に家を建てるような
そんなものが出来上がっていると思うのです。
ロシアの場合は言うまでも無く
バレエという伝統文化がありますが、
この様子を伝えるときに、
写真が無い時代は瞬時のクロッキー(いまでいうムービング)
を下絵として、これに線をくわえて絵を完成して
活字メディアに乗せるということもしていました。
これが出来るようになる近道として、
美術解剖学的な知識があったわけです。
見る力を知識が補完する、そんな事も仕事をするには有用ですよ。
(たとえば、こんなのを自由自在に描けるようにしたいとすると、
モチロン、モデルはこれでジッとしているわけじゃありません。
瞬間の記憶に、美術解剖学的な知識をくわえて描いていたわけです。

現代は写真があって、この写真を見て描けばいいのですが、
それとて、模写する以外にありません。
ちょっとポーズを変えたら、もう描けなくなる。
左足のつま先の向き、そして横に振り上げたように見える
右足の付け根の方向、右足全体の起伏。
美術解剖学的な知識があれば、ドローイングで描けます。)
(バレエといえばドガ。
難しいはずの、首の角度と肩の関係。
その肩と上腕のつき方も完璧。)

(ネットで拾ってきたデッサンですけど、
この方は人間の造りを勉強されていると思います。
粗いデッサンですけど、振り上げた左脚の向こう側、
骨盤の開き方も想像できる絵です。
右の腹部があいまいになっていますけど、
ロシアではこれくらいのレベルまでは当たり前という要求のされ方でした)

(これが、人体の知識がないとこうなってしまいます。
絵の巧拙ではなくて、人間はこういう風になっていません。
関節のついたその向こう側、が難しいところです。
イラストやマンガを志す人も
美術解剖学はちゃんとやっておきましょうね)